私が聞き上手の理由
私は古今東西・空前絶後・出産直後の聞き上手だ。
なんだ自慢かい!
と思う方のために証拠を見せよう。
何年か前に札幌で研修をして、寿司屋「東寿司」に行った。
残念ながら昨年廃業となったあの老舗の店だ。
板さんは松本くんといった。
私を大阪の人間と見るや、大阪に行ったときの話をはじめた。
「へー!」
「そうだったの!」
「やるなー♪」
話を聞くときの大事なコツは相手の話を想像しながら聞くこと。
そして想像の中心に、相手を置くことだ。
すると我がことのように話を体験することができる。
共感の言葉も自然で、感情が乗って来る。
一時間ぐらい話を聞いただろうか。
松本くんは大喜びだ。
そしてやにわに
「これどうぞ、大トロです」
「えーーっ、いいの♪」
パクパクパク。
うーん、うまい!
さすが一人前2,000円の大トロ!
そして一週間後、私は沖縄にいた。
また研修だった。
当時は金がなかったので、私にプラベート旅行はない時代だった。
仕事が終わるとまた寿司屋に行った。
金もないのに・・・。
板さんは沖縄の海が汚れてきた話を
延々と聞かせてくれた。
「ほーー」
「地元の人の話を聞いてみないとわかりませんねー」
「そんなに小さい頃から潜っていたんですか♪」
「なるほどお」
板さんは仕事も忘れて話し込む。
他のお客さんが注文しているよ!
もう帰ろうかと思っていたとき、
「これどうぞ、大トロです」
ありゃ、これは一週間前にも体験したような・・お・世に言うデブジャ?いやデジャブ?
ええっ!いいんですかー!
パクパクパク、モグモグモグ。
うっひゃー、うまし!
一週間で2回も大トロをサービスされた私は、正真正銘の聞き上手だとあなたも認めてくれるだろう。
本当の聞き上手は、相手に思う存分の満足を与える。
これが相手の力だと思うと、警戒する人もいるかもしれない。
しかし相手はそれが聞き手の力だとは気づかない。
ただただ気分がいい。
気分がいいから、目の前にいる人に親しみや愛情を感じる。
それほど聞く力とは自然で、相手の心をつかまえてしまうのだ。
世の中の多くの人は、話す力こそがコミュニケーション力だと信じている。
聞く力にはそれほどの影響力はないと思っているはず。
それは自分が気分よく話している時に、聞き手から力をたくさん与えられていることに気づかないからだ。
我を忘れて話しているのだろう。
そして「俺は話がうまい!」と思い込んでいる。
でも、仕事の力をつけたければ、人との関係を良くしたければ、恋をしたければ、
そして大トロに恵まれたければ
聞き上手の極意をマスターすることだ。
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