楽しい話題、それは心のつぶやき
世の中には、楽しい話をいっぱい持っている人もいれば、「話題がない」と嘆く人もいます。
その違いを別けているものは何なのか。
それは「心のつぶやき」をキャッチする力だと私は考えています。
心のささやかな動きを捕まえることができれば。
そしてそれを言葉にして、外に押し出すことができれば。
話題はいくらでも見つかるのです。
しかも飛び切り楽しい話が。
誰だって
- 「ああ悔しい」
- 「ああ損をした」
- 「プライド傷つくなあ」
- 「やっぱりイケメンの方がいい」
- 「何であんなことを言ったんだ」
と思うことがあるはず。それをまず捕まえるのが大事。
「自分はこんなことを考えているのか」
と見つけられたら、楽しい話のはじまりはじまり。
私たちの心は実は饒舌。
毎瞬毎瞬、色々なことを密かにつぶやいています。
「たこ焼き15個入りか。二人で食べたら1個余るな。食べたいなー、最後の1個」
私たちはそんな小さくてセコイことをいつも考えているのです。
子供の頃は自分の思いをほぼ把握できています。
でも人は大人になるに従って、たしなみというものを身に付けます。
- 「そんな卑しいことを思うものではありません」
- 「人に知られたら評価が下がります」
- 「おかしな人と思われますよ」
自分をこんなふうに抑制するクセがついているのです。
このたしなみが、私たちから「思う」という自由を奪って行きます。
そしていつしか、自分が思っていることに無頓着になっていくのです。
「もう自分は何も思っていない」
とまで思うようになってしまいます。
でも人は決して、思うのをやめたわけではありません。
無意識の世界では、私たちは今でも、恥ずかしいこと、恐るべきこと、不埒なことをしゃべり続けています。
楽しい話題の持ち主になりたければ、過去に嵌めた心のフタを開けることです。
人を傷つけることや、おぞましい気持ちにさせること以外なら、大抵は何をしゃべっても大丈夫。
会ったばかりの人とすぐに仲良くなれる人は、この辺りの話題のチョイスが優れています。
誰もが感じるちょっとした所に気づけるのです。
「家内と結婚した頃は、仕事から帰ると玄関まで出迎えに来てくれたけど、今じゃ私が帰っても玄関の明かりすら消されているからね」
こんな話をしてもらえたら、
「ああ、うちもそうです。この間なんか鍵が勝手に付け替えられていました。わはは」
などと教えてくれる人まで現れます。
こうなれば、会ったばかりでも気持ちが通じた気になります。
仕事上の付き合いでも、ものが言いやすくて気兼ねがいらなくなる。
ものが頼みやすくなりダメ出しだってしやすい。
すると二人で2の力が、3にも4にもなる。
人は気心が通じ協力することで、仕事のパワーが増すのです。
自分の心のつぶやきを捕まえて言葉にする。
これが出来るようになれば、楽しい話題だけでなく愉快な仲間たちまでが手に入りますよ。
ある日の嫁に思う
さて、先日の雨の強い日のこと。
夕方になっても雨の勢いやまず、激しい雨音が聞こえておりました。
外の風景を見ながら私の家内が、「雨が降っているから買い物に行くのやめるわ。今日のご飯はあり合わせでいい?」と聞くのです。
私は反射的に「うん」と答えたのですが、なんか腑に落ちない。
よく考えると、私は雨の日も風の強い日も、台風が来ても地震が来ても会社に向かい、お金を稼いで帰って来るのです。
「なのにおまえはこの程度の雨で、数百メートル先のスーパーにさえ行けないのか」
そんな思いを心に見つけたのです。
あ、だからと言ってそれを口にするほど、私は迂闊者ではありません。
そんな思いをぐっと抑えて、その晩も家内と、あり合わせの夕餉を美味しく食べたのであります。
何も語らないのもコミュニケーションの内。
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