松山英樹を泣かせたへぼインタビュー

ゴルフファンにはしびれた四日間だった。
日本人初のメジャータイトルを目前にしながら、
松山英樹プロは敗れた。

もちろんファンはがっかりしたが、
その後のインタビューが酷かった。
敗れた直後の選手に向かって、

「残念としか言いようがないんですけど、
振り返ってどうですか?」
だって。

「そうですね」・・・「そうですね」・・・
と返すのが精いっぱいの松山プロ。

「何かが足りなかったから勝てなかったと思うのですが、
その何かとは何ですか?」

松山プロからは「考えます」という言葉しか出なかった。

全く心に響く言葉を引き出せなかったのは
富永浩さん(プロゴルファーで解説者だとか)という
インタビュアーの責任かと感じました。
聞いている方もイライライラっと来たのです。

心が開かれてこそインタビューがうまくいく

インタビューとは、質問者と答える側の気持ちが
通じていないとうまく行かないもの。
それを否定の言葉から始めるものだから、
松山プロの心にシャッターが降ろされたのでしょう。

言葉を引き出すプロならば、まずは

日本中が感動しました。
日本人がメジャーで優勝争いするなんて!
日本中がしびれましたよ。
本当にありがとうございました。

そんな温かな言葉から始めるものです。
これで相手の心が開かれる。

心が開かれてこそインタビューがうまく行く。
そこで、

次のメジャーへのいい勉強になりましたね。
今回の経験、どこを生かせそうですか。

メジャーの優勝争いなど
我々へぼプロでは経験できない世界かと思うのですが、
どんな世界でしたか?

そんな肯定的な言葉で少しずつ本音を拾いだして行く。
例え時間がなくても、いい言葉がひとつ絞り出せれば
大成功だ。

この富永さん、前日にも松山プロを閉口させている。

12番13番の連続ボギーはショットのミスが痛かったのですが、
そのあたりどうですか?

一瞬ギョッとする松山プロ。
その目には、何てこと聞くんだい!と書いてあった。

連続ボギーの原因がショットのミスと
聞く側が決めつけてどうする。
せめて、

12番13番の連続ボギー痛かったですね。

と伝えて間をとって待てば、もっといい言葉が
引き出せたはずだ。

似たようなミスはプロのアナウンサーも
ちょくちょくやっている。
昨年のアメリカツアーで松山プロが敗れた時、

16番の池ポチャが痛かったですね!
いかがですか?

といきなり聞いて松山プロを、
やはりギョッとさせ黙らせてしまい、
同伴していた田中秀道プロに
代わりましょうとマイクを奪われていた。

怒っても責めても人は前向きにはなれない

これは一般の人もやってしまうミスで、
部下や子供、時にはお客様を黙らせてしまう。

例えば、試験の結果が思わしくない子供に、
なんでこんな点数だったの?
と聞く親。

成績が思わしくない部下に
何でできないんだ!
と詰め寄る上司。

どれも、富永さんと同じミスを犯している。

子供には、試験おつかれさまと言って
ケーキでも出して、
今度の試験は難しかったのね
とやわらかく話を向けると子供も
話をしやすくなる。

出来の悪い部下には温かいお茶でも差し出して、
仕事、難しいか?
と話を向けると、意外な話が引き出せるかもしれない。

そして
ここはうまくやれているようだね
とまずい中にも得意な分野の話をして、
心を和ませるという手も有効だ。

やる気を引き出すには
怒ること、責めることと勘違いをしている人はまだ多い。
そうしなければ、甘える、舐められると
思い違いがあるのかもしれない。

心が開かれて、互いに気持ちが通じ、
相手の気持ちが前向きになったところで

さあ、何から始めよう。
どこを変えよう。

と効果的な行動を見つける話にすれば、
実は一番早く相手を成長させられる。

責めることでも怒ることでも、
人を前向きにさせることはできない。

うまいインタビューができれば
部下や子供を大きく成長させられる。
失敗すら明日の成功の糧にできるのだ。