一緒にいて居心地のいい人悪い人 出版記念 内容をこっそりご紹介

大事な人の心を鷲づかみにする気持ちの伝え方

四月発売!「一緒にいて居心地のいい人悪い人」(学研)の出版を記念いたしまして、TALK&トークファンの皆さま方にその内容を少しだけご紹介させて頂きます。
ぜひご一読下さいませ。

まずは 第3章 誰も気づかなかった、心を鷲づかみにする気持ちの伝え方 から

【1】「MYストーリー」よりも「YOURストーリー」

〈私が主役〉の物語、〈あなたが主役〉の物語

少し話しただけなのに、心をつかまれてしまう人っていますよね。その人から贈られた言葉はいつまでも心に残ります。それがLINEやメールで送られたものなら、保存をして、ふとした時に見返して元気を取り戻す材料にすることさえあります。

それを贈ったのがあなたなら、相手の人はそのメッセージを読むたびにあなたを思い出します。この時その人は、あなたに心を鷲づかみにされているのです。

そういう会話やメッセージには、ある法則があります。それは相手が主役になっているということです。
会話でもSNSのメッセージでも、ほとんどの人は「私」の話をするものです。それをこの本では「MYストーリー」と呼びます。反対に、相手を主役にしたもの、または相手を心に置きつつ送るメッセージを「YOURストーリー」と呼びます。

●儀礼的な挨拶にも心をつかむポイントが

例えば、やや形式張ったつきあいの相手からこう問われたとしましょう。

相手「お風邪などお召しではないですか?」

こういった儀礼的な挨拶への返事でも、MYストーリーとYOURストーリーのどちらで答えるかで、あなたの印象は大きく変わります。

あなた「ええ、体は丈夫なものですから」

これがMYストーリーです。
この時のあなたの心にあるのは自分自身。「自分の優れたところをわかって!」とアピールしたい気持ちがありありと伝わって来ます。

あなた「〇〇さんはいつもお気遣い下さって、優しい方ですね」

こちらがYOURストーリー。
会話をする時に自分をアピールするよりも、相手の存在を心に置いてメッセージを送っています。人の心をつかむのは、当然こちらの人に決まっています。

誰もが自分が主役でいたい

新入社員のあなたが、先輩からこう聞かれたとしましょう。

先輩「もう慣れたかい?」

職場にも仕事にも慣れてきたあなた、まずは「はい」と答えましたが、その後は、さあ、どう続ければいいでしょうか。

あなた「はい。人に馴染むのは早い方なんで」

MYストーリーです。また、こういう返事は血気にあふれ「優れた人こそ愛される」と勘違いしている人によくあり、職場では浮いた存在になりがちです。気をつけた方がいいですね。

あなた「はい。先輩をはじめ職場の皆さんが温かいので、すぐ慣れました」

まさにYOURストーリー。こんな新人がいたら、入社させた人事のセンスにバンザイです。
自分のことを心に留めて、自分を主役にして話をしてくれる。こんなことを言ってくれる人、メッセージを送ってくれる人なら、誰だって好きになるに決まっています。
反対にMYストーリーを乱発する人は評価を下げがちですから、気をつけないといけません。

LINEでチェック、あなたのメッセージは〈MY〉?それとも〈YOUR〉?

では、ふだんあなたが他人に出しているメッセージは、YOURストーリーでしょうか、それともMYストーリーでしょうか。それはあなたのLINEを見れば、一目瞭然です。証拠がはっきり残っているので、ここで一度チェックしてみましょう。

 「帰りは21時ごろです」
 「晩御飯はいりません」
 「10分遅れます」

LINEで一番多いのはこのような用件でしょう。自分の都合を伝えるいわば道具的なメッセージです。もちろんLINEは基本的に用件を伝える道具ですから、それが悪いということはありません。
ただ、相手の立場からみるとどうでしょう。送られてくるメッセージのほとんどが自分の都合だけであれば、「この人は自分を大事に思っていない」と感じ、寂しく思うでしょう。
とくに家族や長く付き合っている恋人へのメッセージは、手を抜きがちになります。自分の一番大切な人に手を抜くと、その人の心を失うことにつながります。

●コメントにMYストーリーの嵐が吹き荒れる

では、用件以外のメッセージはどうでしょうか。夫や妻、子ども、友人、職場の人に送ったメッセージに綴られているのは、自分のことばかりではありませんか。

 「毎日残業で疲れる」
 「ランチなう」
 「電車、遅れてる。もう15分も待っている」

こんなものばかりなら、相手にとってあなたからのメッセージは価値の低いものになり、ただ読み飛ばされるだけの存在になっている可能性があります。
次に、知り合いからのメッセージを見てみましょう。ほとんどの人が見事なMYストーリーのはずです。
私の生徒の一人は、会社の同期からのLINEメッセージを見直してこう笑いました。

「『いまドトール』とか『雨で暇だからマンガ50巻一気読み』とか、自分のことばっかり。私からしたらホントどうでもいい!」
まさにMYストーリーの嵐。MYストーリーならぬMYストリームです。

人は自分をわかってほしい生きもの。だから会話でもコミュニケーションツールでも、「私」という主語を使って語ることが多いのはしかたありません。しかしそれは、相手の心には何もひっかからないMYストーリー。心の中では既読スルーになってしまうのです。

「あなたのことを気にかけています」、そんなメッセージを使える人に

とはいえ、LINE使用者がいつもMYストーリーばかり発信しているわけではありません。例えば、あなたの家の近くを台風が通過した、あるいは近くで地震があったという時には、こんなメッセージがLINE仲間から届くでしょう。

 「大丈夫ですか?」
 「被害は出ていませんか?」

こういったメッセージに触れると、誰もがふと嬉しくなることでしょう。それは「あなたのことを気に留めています」というメッセージであり、YOURストーリーだからです。
その人の中に、私という存在がいる──そう感じるだけでも、メーセージを受けた人は心が温かくなり安心感が生まれます。そういう言葉を意識していつも使えたら、あなたの人間関係は今とはずいぶん違うものになるでしょう。

●人は誰もが自分をわかってくれる人を求めて人生をさまよう

なぜYOURストーリーをもらうと人は喜ぶのでしょうか。それは誰もが自分のことをわかってほしいと願いつつ暮らしているからでしょう。
でも、世の中に自分のことをわかってくれる人など、そうはいないのが現実です。
妻も夫も、上司も部下も、誰もが自分のことをほとんどわかってくれていない──そんな寂しさを心に隠して、みんな生きています。(だから男は自分をわかってくれる人を求めて、夜の街に繰り出すのでしょう。そういうところの女性はYOURストーリーで相づちを打てるプロですから)

だからこそ、あなたが今日会った人のことをわかってあげられる人になれたら、あなたはその人の印象に強く残り、大切な人と思ってもらえるに違いありません。
「そんなこと言われたのは初めて!」
相手にそう言わせてしまうYOURストーリーでの伝え方を、次項からお話しします。

このコラムは出版されたばかりの野口敏の著作
「一緒にいて居心地のいい人悪い人」(学研)
第3章 誰も気づかなかった、心を鷲づかみにする気持ちの伝え方
【1】「Fストーリー」よりも「YOURストーリー」
よりお届けいたしました。

近々、第5章 20歳年下の人とうまく話ができますか?
【6】若い人が聞きたいのは、失敗や挫折に直面した時の話

をまたこのコラムでご紹介いたします。

一緒にいて居心地のいい人悪い人 出版記念 内容のご紹介:まとめ

  1. 〈私〉が主役のMYストーリー、〈あなた〉が主役のYOURストーリー
  2. 自分のコミュニケーションがどちらか、LINEを見れば一目瞭然
  3. YOURストーリーは「自分のことをわかってほしい」という欲求を満たす