コミュニケーションドラマ 飲み会でグループの中に溶け込めない人もこれで解決
飲み会が多くなるこの季節。
楽しみな人が多い中で、このシーズンを憂鬱な気持ちで迎える人たちもいます。
それは大人数の中にうまく溶け込めない方々。
これもむずかしいコミュニケーションの1つです。
複数人の中で雰囲気に溶け込めず会話に困る
今日の主人公の場合は、状況がもう少し深刻です。
彼は和歌山にある中堅メーカーの人事部に務める三十代の男性。
十二月になると来年度に入社予定の学生を集めて懇親会が開かれるのです。
人事部からも何人かがこの懇親会に出席を要請されます。
係長である彼が出席しないわけにはいきません。
1つのテーブルに8名ほどが座り、会社の人間と学生が半々に分かれて会食をします。
しかし相手はまだ学生。いったい何を話したらいいのか皆目見当がつきません。
「ご出身はどちら?」「京都です」「ああ、そうですか」
「部活は何かしてましたか?」「ウインドサーフィンのサークルに入ってました」「私はやったことないので、ちょっと・・・」
こんな感じで会話も全くはずみません。
誰かが話を振ってくれたら何とかなるのですが、テーブルの会話はいつしか数名ずつに分かれて、彼はひとりポツンとするポツン君になるのでした。
複数人の中でのコミュニケーションは、最高のギャラリーを目指すとうまく行く
すると翌日、役員に呼び出されて「昨日はぜんぜん話をしてなかったじゃないか。せっかくうちに入社してくれた人が不安になったらどうする!」とお叱りを受けたのです。
これはまずい。
そこで彼は一念発起。妻とも相談の上で、コミュニケーション専門のスクールに入会をしました。
そこではいい話題を思いつく会話の瞬発力や、絵が浮かぶように伝える話し方、知らない話題への対応力、相手がつい話をしてしまう聞くスキルなどを学びました。
そして彼のコミュニケーションを大きく変えたのが、グループの中での会話。
グループの中では、自分の話で輪の中に入ろうとせず、最高のギャラリーを目指せというもの。
いい反応をすることが、グループの会話を盛り上げるのだとレクチャーを受けました。
まさか、そんな方法があるなんて! 驚きのスキルでした。
そしてついに、今年もあの来年度入社予定者との懇親会がやって来ました。
今年の彼はもう去年までのコミュニケーション下手ではありません。
懇親会を乗り切るスキルを手に入れたのですから。
懇親会がはじまりました。
テーブルの中の誰かが話を始めると、彼は「へー!」とか「おお!」といい反応をしました。
すると、話し手は自然と彼に視線を向けて話すようになったのです。
話し手から話を振られることもしばしば。
いい反応をしてくれる人には、誰もがつい話を振りたくなります。
彼は話題の中心となる喜びも初めて体験できました。
ささやかですが、「妻が怖い話」で笑いも取りました。
今年、彼の隣に座ったのはマレーシアからの留学生です。
留学生もおとなしいタイプで、そのグループの会話に入れない様子。
去年までならそんなことまで気が回らなかったはずの彼。
しかし彼は変わりました。
留学生に話しかけてみました。
彼「ふだんはどんなことをして過ごしているの?」
留「筋トレが好きです」
彼「おっ!体鍛えているんだ」
留「家でトレーニングしています」
彼「家で!お金もかからないね」
留「そうなんです。私、日本の納豆も食べられるようになりました。あれ、安いから」
彼「日本になじんでいるねー」
留「はい。会社に入ったら、色々と相談させて下さい」
彼「もちろん!」
おおおおお!憧れのとぎれない会話だ。
しかも新入社員から頼られている。
この成果を妻に早く知らさねば。
トイレに行くふりをして「新入社員と会話ばっちり」とLine。
妻からハートマーク入りのスタンプがすぐに返って来ました。
また一人、コミュニケーションの苦手意識を拭い去り、会話を楽しめる人が増えました。
「懇親会ってけっこう楽しい♪」
彼は妻にそう報告をしたのです。
飲み会での会話。グループの中でのコミュニケーション解決のまとめ
- 大勢の中に自然に溶け込むには、まず話している人をしっかり見ること
- 自分が話すより、いい反応を心がけ、話し手が話しやすい雰囲気を作る
- いい反応をしていると、必ず自分に話が振られる
- 話が振られたらオープンになって、答えにいくつか情報を加えて話がふくらむように心がける