あなたの話はつまらないと言われてしまう理由
最近、二人の男性から
「女性から一緒にいてもつまらないからもう会わないでおきましょう」
と言われましたという嘆きを聞きました。
一人は女性と付き合って一年になるという三十代前半の方。
もう一人は四十代前半で、見合いで真剣交際中だった方。
お二人とも女性との結婚を夢見ていたとのことで、その胸の内にある苦しみを思うと、何とかしてあげたくなります。
彼ら以外にも、「一緒にいても楽しくない」という理由で友達ができにくい人、彼氏彼女ができない人、家庭が暗くなってしまう人、職場の飲み会に呼んでもらえない人など、不遇な目に遭っている方がたくさんいらっしゃるはずです。
話をする時はあなたが見たシーン、感じた気持ちを相手も体験できるように意識
私はコミュニケーションに携わってもう31年になります。
ずっと長く考えて来て、こう考えるようになりました。
一緒にいて楽しい人と感じてもらうためには、必ずしも面白い話が必要なわけではない。
それよりも、その人が見たり聞いたりしたことを、こちらもそのまま体験できるように伝えてくれることが、一緒にいて楽しい人の大事な条件ではないのか。
その人の体験を、そこにいる人々と分かち合えるような話し方。
これこそが一緒にいて居心地のいい人の持つ力なのだと確信できるようになりました。
例えば、
「老舗って言われている寿司屋に行ったんだけど、本当に建物が古くてしかも入り口が小さな引き戸になっていてそれを思い切って開けるとそこの大将と目が合ってしまったんだ」
という話をする時。
話が苦手な人は、この例のように一気に全てを話してしまいます。
あとはあなたがうまく理解して、というお任せの姿勢です。
恐らくは、自分の体験を他人と分かち合うことなど、思ったことはないはずです。
これではただ情報が伝わるだけで、相手に自分が見たり聞いたりしたことを、体験をしてもらうことはできないのです。
短い言葉で間を使い、相手の相づちを引き出しながら話す
話がうまい人は、同じ話をする時に、相手に自分が見たものを同じように見てもらおうとします。
体験の共有ですね。
それはこんなふうに語られます。
言葉が短く、間をゆっくり取りながら話すのが特徴です。
相手に相づちを意識して打たせていることに注目して下さい。
「老舗って言われている寿司屋に行ったのよ」
「へー」
「それがね本当に建物が古いの」
「そうなんだ」
「しかも入り口が小さな引き戸になっていてね」
「うん」
「それを開けるとね」
「うん」
「そこの大将と目が合ってしまったんだ」
「うわー。怖かったでしょう」
短い言葉で伝えてもらうと、その場面が脳裏に浮かびやすくなります。
さらにちょうどいい「間」が、想像を促すいい暇になるのです。
映像が浮かぶことで、相手はまるで自分がその出来事を体験しているかのような気分になります。
それはまるで映画やテレビを見ているかのようです。
相手の脳裏には古い建物が浮かび、次に引き戸が見えて、まるで自分がその老舗の寿司屋の前にいるようです。
そして引き戸を開ける。
緊張の一瞬を感じます・・・これが話を体験するということです。
そこで「そこの大将と目が合ってしまったんだ」と言われる。
正面に大将の顔がバッと出て来る!
聞き手は思わず「うわー!」と声を発します。
それがこの話を体験しながら聞いている証拠です。
話がうまい人は聞き手から「まるで映画を見ているように絵が浮かぶ」と言われるのは、こういったことが理由です。
面白いことに、イメージを共有し、同じ気持ちを感じると、互いに笑いがもれます。
この時、人は楽しいとも幸せとも感じるのです。
もちろん全ての話をこの形で伝えることはしなくていいです。
面白かった、びっくりした、困ったなど自分の体験を相手と共有したいと思った時に使ってみて下さい。
コミュニケーションとは相手と1つになること
一緒にいて楽しいと感じられない人は、この体験の共有、気持ちの共有ができないのです。
だから話をしていても、自分と相手の距離が遠くに感じます。
自分は話が面白くないな。
友人や恋人ができにくいなと感じる人は、ぜひ自分が体験したことを相手も想像し、感情移入できるように話す練習をしてみましょう。
同じ体験、同じ気持ちになれたら、あなたも一緒にいて楽しい人です。
何より自分自身が一番楽しい思いができますので、努力のしがいがありますよ。
一緒にいてもつまらないと言われてしまう人へのアドバイス・まとめ
- 自分が見たり聞いたりしたことを、他人と分かち合う気持ちを持つ
- 一場面、一場面ごとに短い言葉で伝える
- 間を置くことで相手は想像しやすくなる
- 相手の相づちを待って次の言葉に移る