質問の答え方でわかる頭のいい人悪い人 

私は仕事柄、様々な人にリサーチを行うことが多い。
世間の人々がコミュニケーション上のどんなことで困っているのか、何を解決すればいいのかを教えてもらうためだ。
しかし、当然のことながら「なるほど!これは使わせて頂こう」と膝を打つような答えにはめったにお目にかかれない。
聞き手の意図を汲んで答えるということは、なかなか難しいことなのだ。

質問にどう答えるか

その答え方一つで
「すごく頭がいい人だな!」とか、
「仕事できないんだろうな」などという評価を、
私たちは常に受けていると心しておかねばならない。

質問者が組織の上層部であったり、取引先であれば、その答え方によってわが身の将来や収入にまで大きく影響を及ぼすビッグチャンスにもなる。

質問への答え方は、ビジネスマンならば必ず身に付けておかねばならないスキルと言えそうだ。

相手の意図を考えずに答えるのが、頭の悪い人

私は近い未来に、大学生のコミュニケーション能力を高めて、就職前に働く力を備えた人材を作り出すコンテンツを作ろうとしている。
だからリサーチに力が入る。

ある偏差値の高い大学に在籍する4年生の男性にこんな質問を投げかけてみた。

「大学生向けのコミュニケーションコンテンツを作ります。早い段階からコミュニケーション能力を高めて、就職してすぐに力を発揮できる学生を育てたいんです」
「就職活動をして初めてわかったこともあったでしょう。いま思えば、1、2年生のうちに身に付けておけばよかったコミュニケーション能力って、もしあれば教えて下さい」

この問いに彼はこう答えた。

「自分は系列の高校からそのまま今の大学に入ったんで、友達も多かったんです。だから初めから大学にもなじめて、スムーズだったんですよ。自分はポジティブな方なんで」

うーーーん、これは的外れ。
私はこのまま話を続ける意欲を失い、「それは素晴らしいね」と言って彼から離れた。

相手の意図をイメージし、それから答える頭のいい人

時を置いて、同じ問いを別の女子学生にしてみた。
すると彼女はこう答えたのだ。

「就職の面接を受けて思ったのは、面接官の質問に短く適切な言葉で答える力が自分には足りないと感じました。質問に答えたら、その先はまた質問してくれるのだろうと甘く考えていたのですが、全くスルーされて肝心なことを伝えず終いで面接が終わったことが何回もあったんです」

そうか!大学生にも言いたことを短い言葉に集約する力がいるのか。

彼女に大事なことを教えてもらえて、私は深く感謝した。
彼女を採用した企業は、本当にいい人材を手に入れたようだ。
私が彼女の上司、または取引先ならば、必ず責任ある仕事を回すに違いない。

 

まず考えるのは、質問者が欲しがっている答え

質問に何も考えずに答えると、初めの男子大学生のようになってしまう。
私は大前提として「就職するのに必要だと気づいたいいコミュニケーション能力」について、現役学生としての意見を聞いたのだ。
彼にはそれを汲み取る力がまだ備わっていなかった。

質問に答える時は、頭に浮かんだ言葉をすぐに吐き出してはいけない。
まずは質問をよくかみしめて、質問者の意図を考える時間を取ってみよう。

「この人はどんな答えを求めているのか」
「どんな方向で答えればいいのか」

頭のいい女子学生は私の問いを受けてまず「うーん」と言った。
そしてしばらく沈黙し、その後で先ほどの答えを語ってくれた。
その間に、私の意図と答えの方向性を熟慮したのだろう。

実力者は質問を道具に、いい人材を探す

組織には必ずそれを支えている実力者がいる。
彼(彼女)は、いつも自分を支えてくれるデキるメンバーを探しているのだ。
彼らはもちろん実績を重視するが、在野の賢人、実力をまだ披露してはいないが秘めたる力を持つ人材にも目を向けようとしている。

彼らは質問を使って、そんな人材を常にリサーチする。

「今はどんな仕事をしているの?」
「うちの会社をどう思う?」
「リーダーになってどう?」
「将来はどんな仕事をしたいの?」

この時、彼らの意図を察して具体的な答えをする者に目をつける。
もしあなたの答えに、彼が「そうか」としか言わず次の質問をしなければ、あなたは彼の試験に落ちたのだ。

彼らは取引先の人間にも同じように問いかける。
その答えが秀逸な者と取引をし、また時にスカウトも行う。

まだその力を備えていない人は、質問にも答え方があることをまず知ってほしい。
そして質問者の意図に目を向ける意識を持ってほしい。
あなたにも、いい仕事を手にするチャンスが巡って来ていることを忘れてはいけない。

短い言葉で核心を伝える力をつけるなら

伝える力は汲み取る力でもある。
いい仕事をしたい、稼ぐ力が欲しいと思うのならば、伝える力を必ず身に付けよう。