ウケる話ってどうしたら身につく?
彼が口を開けばみなが笑顔で話に聞き入る。
そんな人が世間にはいるものだ。
自分が何かを話しても、みなの反応は小さく寂しいのに。
自分の話には「へー」と言った切り、聞き手が全く乗っていないのが伝わって来る。
いったい何をどう話せば、みなに話を食い入るように聞いてもらえるのだろうか。
そう思っている人は世にいっぱいいることだろう。
私の家内がルールも知らないゴルフ中継を見て笑ったのはなぜか
私はアメリカで行われているプロゴルフのメジャー大会、
全米オープンゴルフをテレビで見ていた。
私の家内もソファーに座る私の隣で、その番組を見ていた。
彼女はゴルフになど全く興味がない。
時々、スマホのYouTubeなど見ながら、ただのお付き合いをしていてくれた。
私がテレビからふと目をそらした時、家内がテレビを見ていて突然笑い出した。
何事かと思い、テレビを見るとリプレイが映し出されている。
そのプレーヤーは2メートルのパットに、そのシーズンの全てを賭けていた
あるプレーヤーはそのパットに今シーズンの全てを賭けていた。
そのパットが入ると、年間のベストプレイヤー30人で行われる最終マッチに出場できるのだ。
打たれたパットはゆっくりと転がり、カップを外したかに見えたが、最後の30センチでボールはフックラインを描いてカップに吸い寄せられて行く。
ボールはカップの右横から中をのぞき見て、
入るかどうか戸惑いを見せるように動きを止め
最後は「お前がそんなに言うのなら」といった感じで、コロンと音を立てて中に入った。
この瞬間、彼は年間の上位30人に入り、最終マッチに出場できることになった。
その試合は優勝すれば16億円!
出場するだけで5000万円がもらえるビッグマッチだ。
彼のこの試合の順位は30位。
大した成績ではない。
しかし、彼にとっては名誉も金もかかった大一番のビッグな一打だった。
空を見上げて「ふー」と息を吐く。
ゆっくりと腕を突き上げる。
それはまるで優勝した選手がするかのような仕種。
周りは誰も何も言わない(30位だし)、もちろんトロフィーもない。
彼だけが感激に浸っている。
しかし彼の表情は恍惚としていて、胸に手を当て神に感謝するかのように何かをつぶやいた。
家内は彼の感情表現に魅かれた
家内はその表情を見て大笑いをしている。
リプレーを見て、また笑っている。
何が彼女をそこまで笑わせたのか。
それはそのプレーヤーの表情から伝わって来る感情でした
ゴルフのことはわからなくても、人間なら他人の表情や仕種からその気持ちはわかる。
プレーヤーの振舞いから、彼女は彼のほっとした安堵感、じわじわとこみ上げて来る喜び、
そして自分の幸運への感謝
そんな気持ちがいっしょくたになったものを画面から感じ取ったのだろう。
それがおかしかったのだ。
ほのかな感情に人は魅かれる
ということは話も全く同じことが言えそうだ。
他人を引き付ける話をしている人は、その中にほのかな感情をひとまぶししてストーリーを伝えている。
人を引き付ける話しには、感情が必要なのだ。
しかも、あまりに強い怒りや悲しみは刺激が強すぎて受け付けてもらえない。
先ほどのプレーヤーのように、想像するとその気持ちがじんわりと伝わって来るような、微妙な気持ちが一番いい。
それは聞き手の頭の中でゆっくりと形になり、その気持ちをじわりと感じさせてくれる。
まるで自分もそのストーリーを体験しているかのようだ。
その気持ちがわかるから、人は笑う。
あなたも他人の気持ちをつかみたいのなら、そんなストーリーをたくさん見つけてみよう。
一見むずかしそうに見えるけれど、あなただってそんな微妙な気持ちを日々体験している。
それに気づいて、人に語ればればいい。
最初は下手でもかまわない。「ふーん」という悲しい反応にも出会うだろう。
しかし失敗を重ねるうちにコツがわかって来る。
秘訣がわかれば、上手に話す人はどこが上手なのかがわかって来る。
そうすれば上手な人の話をマネして、自分の上達につなげることも可能になるだろう。
家内の乾杯に感じる違和感
私は家内と週に4回ほど晩酌をする。
「乾杯」とグラスを合わせる。
その時、家内は私のグラスより自分のグラスを上にして来る。
初めは平行だったグラスの位置が、
互いが触れる直前に家内はグラスの位置を上に持って来る。
チーン、かんぱい。
家内はその意味を知っていてそうしているのだろうか。
それはマウンティングだぞ
それとも「私の方が上なのよ」という高らかな宣言?
怖くてその真意を聞くことができない。
ウケる話ってどうしたら身につく?:まとめ
- 人はじんわりと気持ちが伝わって来る話が好き
- 日々の暮らしの中で、自分が感じる微妙な気持ちを見つける
- それをなぜ感じるのか、はっきりさせる
- 気持ちを伝えることを意識してストーリーを話す
- コツがわかったら、バラエティ番組などを見て出演者のどこがうまいのかよく観察する