傾聴では話ははずまない

先日の講演会のこと。
終了後、「傾聴のセミナーを主宰している」という女性が話しかけてきて少しお話をしたが、なんか違和感がある。

「野口さんはどちらで教室を?」
「北浜です」
「そーなんですかー」
「中央公会堂が正面に見えて、景色がいいところなんですよ」
「それは素晴らしいですねー」
「引っ越してもう6年になるんですけどね」
「6年ですかー」

どの相づちも抑揚がなくうわっつらだけの感情しか乗っていない。
彼女が本当に感じている気持ちは伝わって来ないので、気持ちのキャッチボールになってない。
背中がむずむずしたので、会話は打ち切りました。

話を聞く=傾聴 ではない!

そういえば、傾聴を会話のスキルに取り込もうとする講座や書籍が目立つようになりました。
よくよく考えると、傾聴とはカウンセリングの技法で、悩みや辛さを持つ人の気持を引き出すコミュニケーション。

でも雑談とはほとんどが楽しいもので、相手との距離を縮めるのが目的のはず。
楽しい話を引き出すのに、辛い話を引き出すコミュニケーションが役に立つはずがない。

カウンセラーは己が感情を抑え、クライアントが話すのを促し、相手がしゃべらないときはひたすら待つのが仕事。
雑談でこれをやられた日には、相手は話しにくいことこの上ない。

そこではたと気づいた。
最近「聞くスキルはいりません」という問い合わせが目立つようになってきた。
この『傾聴』を『聞くスキル』だとみんな誤解しているんだな。

ビジネス上の雑談に必要な聞くスキルは、感情表現が基本

聞くスキルは、まず豊かな感情表現が基本。
「中央公会堂が正面に見えて、景色がいいところなんですよ」
と言われたら、

「いいとこですねー!」
「すばらしいじゃないですか!」
「一流ですね!」
という感想を伝えることも『聞く』のうち。
これが上手だと話は本当に弾みます。

そして、
「最高のロケーションですね」とか
「私もそんなオフィスで働きたいですー♪」と、
相手の話を聞いて感じたことを表現するのも、『聞く』のうちなんです。

相手が自分の話を気分良く語れるようコミュニケーションすることが、聞くスキル。
聞き手ももっと話していいし、自己表現することが必要です。
傾聴とは間逆のコミュニケーション。

ただ穏やかに大人しく「そうなんですねー」なんて言われたら、雑談は弾まんよ。

一流の会話のセンスは聞くスキルの中に

TALK&トーク話し方教室のコミュニケーションスキルUP講座は「聞くスキル」についてお伝えするレッスンですが、とてもアクティブ。
ただ「へー」とか「そーなんだー」と言うだけの気の抜けたスキルをお伝えする場ではありません。

もちろん質問のスキルも大事。
それは「あなたに興味があります。関心があります」という意思表示ですからね。

相手からアクティブに話を引き出し、自分をも豊かに伝える。
これがなくちゃ雑談のスキルとは呼べません。
アクティブな聞くスキルをマスターして、雑談に営業に婚活に生かしてください。