いっぱい喋るから伝わらない
話が下手な人、苦手な人は、もっと言葉が、もっと話題が必要だと思っているのでは?
でもそれは、大きな思い違い。
話がうまくなりたければ、言葉数を減らすべきなのです。
話が苦手な人は、自分が思うより二倍も三倍もしゃべっています。
そしてしゃべればしゃべるほど、相手に何も伝わっていないという悲しい結果になっているのです。
例を挙げてみましょう。
下関で天然ふぐを食べた感激をお話ししてみます。
まずは、話し下手さんのトーク。
下関に初めて行って天然フグを食べたんだけどそれはそれは美味しくて、
てっさなんて大きな皿にずらりと並べられてふだんなら一枚一枚大事に食べるのに下関では量がすごくてテレビでレポーターがやってるような大人食いをして来て、おなかがいっぱいになったころにようやくてっちりがはじまって死ぬかと思ったけど雑炊まできっちり食べて来たんです。
わざと句読点を打たずに書きましたが、下手な話し手がしゃべると本当にこんな感じで「間」がありません。
聞き手がいることも意識から飛んでしまい、長々としゃべってる。
間がないのでセンテンスが長くなる。
なんとか伝えようと、ひとつの話をあれやこれやと説明して、それが仇になって聞き手には容量オーバーとなり、何も伝わらない結果に。
実は、自分は話はできる、話しはうまいと思っている人も、これと同じことをやっている場合が多いのです。
いっぱいしゃべれば話し上手だと思っている人、多いですね。
でも、聞き手の心に届かなければ話し下手と同じ。
では本当に上手な人が話すとどうなるのか。
下関に行って来ました。
フグですよ。
天然フグ。
てっさなんて、一箸で大人食いですよ。
ぜいたくー。
満腹になってからてっちりが出て来るんです。
忘れてたー、てっちり。
食いきれない。
でも食べました。
死ぬ思いで雑炊まで食って来ました。
いつ死んでもかまいません。
ああ、うまかったな。
センテンスを短く、というよりほぼ単語。
文章の間を空けたのは、本当にこれくらい間を置いているということを表現してみました。
間を上手に空けると、聞き手が思わず相づちを打つ。
すると話し手と聞き手の心に橋が架かる。
信頼の橋。
いったん橋が架かりますと、話し手の言いたいことが二言三言で伝わる。
以心伝心とはこのこと。
聞き手は話し手の言いたいことを十二分に理解し、
営業なら契約したくなり、雑談なら好きになる。
異性なら恋をする。
これを、コミュニケーションブリッジと名づけました。
教室では、話がとんと出来なかった生徒さんたちが、伝わる話し方を体得している。
あの人は絶対にうまくはならないと感じた超話し下手の人でさえ、
努力の結果、爆笑をとるほどに!
話し方の世界に、ついに奇跡が起きました。