プロも失敗する 話を聞くむずかしさ
先日、私が山田にこう言った。
「風邪の菌がおなかに来て、昨日はトイレに7回も行ったよ」
すると山田はこう返した。
「数えたんですね」
すかさず梶村が
「そこは『7回もですか!!』でしょうよ」
とつっこんだ。
私は「ほんまや、7回もですか!のほうが嬉しいわ」
と納得。
山田はプロにあるまじきミスをした。
数日後、山田が私にこう言った。
「先生、わたし会社から自宅まで歩いて帰ったんですよ。2時間かかりました」
私、「はあっ!?」(絶句)
すかさず梶村が
「そこは『2時間もかけて!』でしょうよ」
とつっこんだ。
私もプロにあるまじき失敗をしでかした。
私の脳裏には、山田は
たしか2年ぐらい前にもそんなことして
4時間もさまよって、
見えるはずのない通天閣を2度見て、
大阪の危険地帯に入り込んで、
危なそうなおっちゃんに声かけられて、
終電のころになってようやく
地下鉄の入り口見つけて、
とほほの思いで家に帰ったって言ってたやん。
おまえはまたなんでそんなことしたがるんや!
との思いが交錯しての
「はあっ!?(絶句)」
だったのだ。
聞くとは、相手が期待した反応ができるということ
よく「私は聞くほうはできるんです」
なんて問い合わせて来る人がいるが、
「いやいやいや、できてないんじゃない!?」
と心ではつい思ってしまう。
だってプロでも間違うこの反応。
口下手という自覚のある人が
「できる」なんて言えないと思うんだけど。
そういえば去年の12月、ある人に
「昨日ゴルフでベストスコア出しました!」
とメールしたら、
「へー、冬でもゴルフするんですね」
とのお返事。
ああなんというがっかり感。
そこは「おめでとうございます!感激ですね!!」
ってちょうだい!って密かにつっこんだものです。
聞くとは、相手が期待した反応ができるということ。
プロでも外すんだから、一般の方々が
「できる」なんて思わないほうがいい。
プロと素人の違いと言えば、
「はずしたな」ってわかることぐらい。
誰だって外した反応をしているんだけど、
相手はそんなこと教えてはくれないから
「聞く方はできる」なんて思ってしまうもの。
でもこれが原因で会話はとぎれ、人は去り、
恋は破れ、仕事はほされ、家で浮いてしまう。
なんて充分にありえることなんです。
期待はずれが続いたら、相手はがっかりするからね。
「いまの反応、外しちゃったな」と自分のミスに気づけるのなら、その人は相当なコミュニケーション力の持ち主ですよ。